60代 起業体験談

第7話 42歳、独りよがり~余裕がなくなると嫌な私が出てくる~

前の日。帰り際、社長が言った。「軽く一杯いくか」の言葉に私は社長の顔も見ずに、「……気分じゃないです」と答えた。家に帰ってから、後悔した。社長は何も悪くない。リースの審査に落ちたのは、社長のせいじゃない。私を責めたわけでもない。むしろ、「し...
60代 起業体験談

第6話 42歳と62歳、続々:審査の壁~設備準備への不安~

会社を始めるために必要だったのは、複合機だけではなかった。ビジネスフォン。パソコン。これもまた、私を悩ませた。私はExcelを使うのは得意だった。でも、スペック。メモリ。CPU。そういう話になると、まったく分からない。仕事で使うパソコンなら...
60代 起業体験談

第5話 42歳と62歳、続:審査の壁~創業融資に落ちた新米会社~

日本政策金融公庫には、これから事業を始める人を対象にした**「新規開業・スタートアップ支援資金」**という制度があった。その中には、女性や若者、シニアの起業を支援する内容もある。それを見つけたとき、私は思った。シニア起業家支援。隣を見る。6...
起業物語

第4話 42歳と62歳、審査の壁~ひとつ進んで、またひとつ壁~

事務所として借りられる物件は、もうほとんど当たり尽くしていた。「もう、他にないんですかね……」そんなことを、不動産屋さんに相談してみた。すると担当の方は、私たちの会社について詳しく聞き始めた。「卸売り・商社とありますが、業務委託になるので、...
起業物語

第3話 42歳と62歳、事務所が借りられない~起業直後の事務所探し~

会社ができた。次は、事務所だ。会社を作ることができたんだから、事務所くらい普通に借りられるだろう。このときの私は、わりと本気でそう思っていた。事務所を探し始めて、最初に思った。——ない。思ってたより、全然ない。駅から近くて、家賃はこのくらい...
起業物語

第2話 42歳と62歳、会社をつくる~新米社長、誕生~

退職後、有休消化中。久しぶりに、時間ができた。最初の数日は、何をするでもなく過ぎていった。朝、ダラダラしながら夫と息子を見送る。昼間からテレビをつけて、なんとなくスマホを見て、気づいたら夕方。「あれ、もうこんな時間?」そんな毎日だった。これ...
起業物語

第1話 42歳、会社辞めちゃった~42歳の私と62歳の新米社長、起業の始まり~

外は、うだるような暑さだった。夕方になってもアスファルトには昼間の熱が残っていて、会社から店まで歩いただけで、首筋に汗がにじんだ。居酒屋の引き戸を開ける。「涼しっ」冷房の風に、思わず声が出た。席に着いて、迷わず生ビールを二つ頼む。しばらくし...